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3/6(月) 渋谷WOMB 〜 PURITY RING来日公演レポ。

 

 

随分と遅くなってしまったが、個人的には2017年初となる海外勢のライブとなった、

PURITY RINGの初となる(来日経験はフジロックのみ)単独公演に足を運んできたので、

簡単にではあるがつらつらと感想を述べていこう。

 

彼女たちことは、拙ブログにおいては大々的に取り上げたことはなかったが、アルバムは

2枚とも愛聴していたし、来日ラッシュが続く中で、きっと彼女たちのライヴは今観るべき

ものだろう……という長年のライヴ人生で培った勘に従った結果、非常に興味深いライヴを

体験することができたのだ。情報と体験とがごちゃ混ぜになって、その蓄積から生まれた

直観というのは結構信用できるものである。

 

渋谷WOMB、ライブハウスというよりかはクラブではあるが、以前このハコに行ったのは

TWO DOOR CINEMA CLUBの時か。やばい、もう6年も前じゃないか(苦笑)!! 今の彼らが

こんなハコでライヴなんてやったらパニックになってしまうだろうな。それはさておき、

残念ながら、今回の単独来日公演は、告知不足なのか知名度がそもそも低いのか分からない

のだが、完売御礼というわけにはいかなかったし、外国のお客さんが大勢いたところに、

日本における立ち位置が見えてきてしまったのも事実ではあるが、その分すんなりと

最前列付近で鑑賞することができた。

 

場内が暗転し、最初にステージに現れたのはトラックを手掛けるCorin Roddick氏。

ナイーヴそうな青年であったが、事実この夜は一言もMCを発することもなかった。

彼の手によるシンセ・サウンドが流れ始め、その後ヴォーカルと作詞を担当している

Megan Jamesが登場。彼女、なかなかに個性的な出で立ちだったのだが、ブロンドに

特徴的な太い眉、というので何故かMADONNA(87年くらいの)を思い出してしまった。

まあそんなことはいいが、ライヴは最新作Another Eternityの冒頭を飾る

"Heartsigh"でスタート、という実にオーソドックスな流れ。が、単にオケを流して

歌うなどというつまらないスタイルではなく、コリン氏を囲むように設置されている

照明……恐らくはシンセ・パッドみたいなものが付いているのだと思うが、それらを

叩く度に、その楽曲それぞれに合った色の光が浮かぶという仕掛けである。より広い

会場では、すだれのような照明演出があるようなのだが、今回それはスクリーンに

映し出された映像で代用。それでも、英国が誇る名門レーベル4ADに見初められた

という事実、その理由を端的に表すが如き、PURITY RING独自の美学は十二分に

伝わってくる。終始薄暗いフロアの中で揺らめく、光と音が交差するスペクタクル。

無論、パッドを叩くタイミングがずれたら相当恥ずかしいことになるのだが、元々は

ドラマーであったというコリン氏、リズム感覚も優れているようだ。

 

続いて披露されたのはデビュー作Shrinesから"Amenamy"。先に書いてしまうと、

今回のライヴは2枚のアルバムをバランス良くミックスしたセット・リストとなって

いて、どの曲でもイントロから歓声が上がっていたことは強調しておきたい。

 

リード・トラック"Push Pull"ではより大きな盛り上がりを見せた。ライヴで体感すると、

現代的なヒップ・ホップやダブステップなどの音楽から影響を受けたと思しきビートは、

予想以上に腰にくる重みがある。それでいて、何処か懐かしく、親しみやすい旋律を

歌い上げるミーガン女史のヴォーカルが、PURITY RINGの音楽におけるポピュラリティを

高めていることは間違いないだろう。彼女自身は、衣装等も自身が手掛け、実際にこの目で

観たライヴ・パフォーマンスも含めて、明らかにアート寄りの感性の持ち主ではあるのだろう

けど、その歌声は、しつこいようだが4AD所属のアーティストらしい、何処か神秘的な美学を

持ち合わせていながらも、高尚になり過ぎないという絶妙な魅力がある、というのは非常に

大事な事であると感じた。MCは控え目ではあったが、時折見せる笑顔は実にチャーミング。

気難しい人なのかな、と勝手に思い込んでいたが、素朴そうな雰囲気もありましたね。

個人的には、それも今回の収穫です(笑)。いざパフォーマンスとなると、己の美学に則った

世界に没入するタイプのアーティストなのだろう。

 

何となく、PURITY RINGのことを、ありがちなドリーミーなシンセ・ポップなんだろと敬遠

していた人たちは、ライヴでこそ彼女たちの音楽は体験すべきだ。こういう音楽だからこそ、

ライヴという場でどのように表現するのかでその本質も見えてくるというものだが、ふわっと

した雰囲気重視の環境音楽などではなく、繰り返しになるが、独自の"世界"をステージに現出

せしめることのできる2人なのである。彼女たちの楽曲の中では、特に攻撃的と言えるビートが

ライヴではより強調されていた"Sea Castle"辺りを体感してみるとよい。

 

楽曲は失念してしまったのだが、ミーガン女史による、うむ、何と言っていいか、扇状に

なっている、照明の集合体みたいな装置を使ったパフォーマンスも実に美しかったな。

どのような仕掛けになっているのか、手袋をしたミーガン女史が、先述した照明から

発せられる光源に触れると、指先から光が反射していくというか……なかなかお目にかかれ

ないようなパフォーマンスであった。

 

満を持して披露された"Fineshrine"で改めて大きな盛り上がりを生んだ後、長めのMCが入った。

フジロックに参加したこと、また日本に来られて嬉しいといったようなこと……奇を衒った

ような発言は一切せず、誠実な態度でこの日集まったオーディエンスに感謝の意を述べて

おりましたよ。ラスト曲は"Begin Again"。前列では合唱も生まれて、大団円でライヴは

終了。アンコールも無く、正味一時間程度のライヴではあったが、私個人としては十分満足

できる内容であった。

 

 

次回はもっと大きな会場で、演出やセットなども完璧な状態でのライヴが観たい。勿論、

いつになるのかは分からないが、新作にも期待したいものだ。

 

ありがとう、PURITY RING。

 

 

at 23:31, 某スタッフ, Music(Live Report)

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3/4(土) 東京キネマ倶楽部 〜 CREATURE CREATURE "Death Is A Flower: The Second Volume" Final

 

 

あらゆる観念の相克、その二元論の中で、冷徹な視点の先と、灼けつくような情熱とが、

絡み合い乱れ合う音魂の応酬。本物中の本物、絶対的な存在。

 

CREATURE CREATUREは、まさに1つのピークを迎えようとしている。観た人にだけ

それが分かる、濃密な3時間。共感ではない。繋がりではない。自己の覚醒を促すほどの

強烈な、鮮烈な、あまりにも美しいヘヴィネスが、此処には在るのだ。

 

というわけで、2015年6月以来のCREATURE CREATUREである。知っている人は知って

いるだろうが、この日はMORRIE御代の誕生日。毎年、バースデーライヴとしてソロで

公演を開催するのが恒例になっており、私も御代が50歳を迎えた時のライヴには足を

運んだが、今回に関してはソロでのライヴではなく、CREATURE CREATUREとしての

ライヴと相成ったわけである。

 

結論から言うと、今回ほどMORRIE哲学とでも言うべき、彼の本質に迫ることができたライヴは

個人的には初めてであったし、CREATURE CREATUREというバンドが、日本のロック・シーンに

おいて、過小評価どころか一部界隈にしか知られていないという現実に愕然としてしまった、

という何とも歯痒い気持ちにさせられたライヴでもあったのだ。好き嫌いではなく、この破格の

存在を無視する日本の音楽ジャーナリズムとやらは、一体何をしているのだと。

 

ライター仕事をしている私がそんなことを述べた時点で、それは鋭利な刃となって自分自身に

突き刺さるというのは重々承知の上ではあるが、ともあれ苦言を呈したくなるのは致し方ない。

それほど凄いライヴを見せてくれるのだから。

 

 

16時半開場と随分早い時間設定ではあったが、結局客を会場に入れたのは17時過ぎになってから。

リハーサルが押したのかどうかは分からないが、開演自体も30分強押し、18時を少し過ぎた辺り

となった。SEと共に現れたメンバー、ヘアー・スタイルから出で立ちまでいつも通りばっちり

メイクを決めたHIRO氏の姿を見て、思わずガッツポーズですよ(心の中で)。SHINOBU氏は

貴公子的な出で立ち、人時氏はパーマをかけたお洒落な髪でファッション的には割合にラフ。

ササブチ氏は……アイライン程度には化粧を施しているものの、限りなくラフ(笑)。前回観た

時は髪型もメイクもがっつり、といった感じであったが、このバンドのライヴではそんな化粧も

すぐ落ちると理解したのかもしれない。観るたびに逞しくなっていく肩幅からして、そんな風に

邪推してしまった。

 

美しくも黒い男達の中で、一際輝く艶やかな華のような存在、ヴァイオリニストにしてMORRIE氏

の愛妻、Heather Paauwe女史が登場した瞬間、どよめきと温かい拍手が巻き起こったのが印象的。

事前告知は無かったように思われるし、今回はソロ公演ではないから、恒例となっているゲスト・

ミュージシャンの参加は無いとオーディエンス側も考えていたからだろう。この面子に混じって

歌う清春氏なんて想像できないし(笑)。人時氏と並ぶなんて、照れくさいんじゃないかなと。

 

閑話休題。最後に登場したMORRIE氏、いつからかその肉塊が朽ちていくのを止める術を、何者

からか伝授されたのではないかと疑いたくなるほどに、恐ろしく変わらない御姿のまま。

妖気すら放たれる圧倒的オーラを全身感じつつ、ライヴは幕を開けた。

 

ツアー・タイトル通り、新曲中心で構成されたセット・リストは、全国流通の発売まで購入を

控えている私としては、非常に興味深いものがあった。ツアー最終日ということもあって、

新曲もライヴを重ねていく上で、よりこなれたものになっていったことは想像に難く無いし、

一流のミュージシャンが、己の技量の全てでもって挑む楽曲群は、更に複雑に、更にヘヴィに、

鮮烈な、強烈な異形の美を生み出しており、グルーヴに身を任すことさえも容易に許さない

ような、高潔な美学に満ち満ちており、明らかにバンドが過去の音源とは全く違う次元に突入

したことを、如実に示すものであろう。それ故に、最新作メインで進行していった前半に

おいては、披露された過去曲が"Phallus Phaser""Black Hole"といったプログレッシヴな

構造を持った楽曲であったことも、実に明確なバンド側の意思が働いていることは間違いない。

 

MORRIE氏自ら、「5人目のメンバー」として紹介された……え? 5人? とその場にいた誰もが

思ったはずだが、ライヴ後半で「6人目だね」とこっそり訂正されておりました(笑)、麗しの

奥様Heather女史を呼び寄せ、3曲ほど6人でのCREATURE CREATUREを披露。単に美しい

だけでない、時に狂おしいノイズをも放出するヴァイオリンが重なると、相乗効果抜群で

ある。個人的には"天醜爛漫"が特に良かったな。7拍子からサビで3拍子へと移行していく

ドラマティックな構造を持った楽曲だが、人時氏とササブチ氏のリズム隊によるプレイが

非常に素晴らしかった。HIRO氏のギターとヘザー女史(彼女自らHIROの元へとやってきた

というのがミソ)のヴァイオリンの濃厚なセッション的展開は燃えましたな。お互い一歩も

譲らない、といったような雰囲気が実にクール、超カッコいい。

 

この辺りでMCが入ったと思うが、ツアーファイナルということで、メンバー全員に喋らせる

MORRIE氏。「最後にすると面倒になる」という理由でササブチ氏がトップバッターを務めて

いたのには笑ったが、「お酒が美味しかったな〜」というのを繰り返すだけで、ああ成程と(笑)。

人時氏は彼らしい人柄の出た、実に真面目な感想。SHINOBU氏は「楽しい、終わりたくない」

といった正直な言葉を述べていた。HIRO氏は、ツアー中の思い出なども語りつつ、人時氏の

コーラスの練習を邪魔した、などといったお茶目な一面も。嗚呼、ラクリマのメンバーが

黒夢のメンバーのコーラスの練習を邪魔する日が来るとは……などと私のような90年代男

からすれば、何とも感慨深い気持ちにさせられたな。似たようなことはもう何遍も書いて

いるような気もするが、何遍でも書きたいのだ。

 

後半戦はそれこそ90年代ビジュアル系の魂や此処に、と言うべき"楽園"を皮切りに、凄まじい

テンションで突っ走る。53歳のMORRIE氏、何ら疲れを見せるようなこともなく、咽喉の調子も

絶好調。今回特に感じたのは、時折挟み込まれるオーディエンスへの男気溢れる煽りが、

いかにも80年代ジャパン・メタルという出自を感じさせるのが、また良い。今回は特にそれを

感じたな。2015年のライヴの時点で既に演奏されていた、"Decadent Angel"ではMORRIE氏

自ら「人時!!」と叫び、作曲者の人時氏がステージ前に来て、いかにも彼らしいベース・ライン

を弾き倒す。"Amor Fati" "SEXUS" "Dead Rider"と定番曲を立て続けに叩き付け、ラストは

MORRIE氏の「ササブチ、最速!!!!」という無慈悲な指令が下り(笑。ササブチ氏、死にそうな

顔してたなあ)、激烈な"Swan"で〆。並の20代30代のロック・バンド達が裸足で逃げ出す

であろう強烈過ぎるパワーに、37歳の私も鼓舞される思いであった。

 

アンコールは各自のソロからスタートで、まずはササブチ氏がビートを刻み、人時氏が現れ

ベース・ソロを披露。これがまた、黒夢でのアヴァンギャルド寄りのソロ・タイムとはまるで

違う、オーソドックスなプレイであったのが印象的だ。スラップとかバリバリやってたし。

続いてSHINOBU氏が登場して流麗なソロを、少し時間を置いて登場したHIRO氏も、さすがの

余裕綽々なプレイで魅せた。やはり一流のミュージシャンによるこういうセッション・タイムも、

実に贅沢なライヴの貴重な一時である。

 

その後、何とステージ下から(!)MORRIE氏が登場し、セッションからそのまま曲へと雪崩れ

……と思ったら。演奏がストップしてMORRIE氏が思わず苦笑い。そのままHIRO氏による

ハッピー・バースデーのメロディがプレイされ、オーディエンスの合唱に包まれました。

 

「来ると思ってたけど忘れてた」なんて仰っていたMORRIE氏、「男の子なんで泣きません」

みたいなことまで口にしていたが、とても嬉しそう。

 

が、この後MORRIE氏がおもむろに語り出した話は、私にとっては、これ以上は無いほどに

MORRIE氏が見据えている世界、その一端を理解するにあたり、非常に重要なものとなった。

ある意味、ライヴそのものよりも貴重だったかもしれぬ。長くなるのでこの辺りは割愛しよう。

 

仕切り直しで披露されたのは"ゾーン"。ワウの効いたギターとグルーヴィンなベースが

エロティックですらある。ヘザー女史が再度登場して"Pysche"も披露されたが、残念ながら

機材の調子が悪く、ヴァイオリンの音が前半は出ていなかった。こんな時、思いっ切り

苛立ちをあからさまに出していたのが、やっぱり外国の女性だな〜なんて妙なところで

感心してしまった(笑)。旦那の晴れ舞台なのに!! って感じで、正直そんな一面も素敵

でしたな。その後は、HIRO氏の「何処へ?」という煽りからの「エデンまでー!!」という

コール&レスポンスもあった"エデンまで"、ラストの"Aurora"まで一切の中だるみもなく

バンドは一丸となって駆け抜けた。全員がステージを後にしてからも拍手は鳴りやまず、

再び全員(含むヘザー女史)出てきて、ステージ中央に集まって肩を組んで深々と一礼。

3時間に及ぶライヴは幕を閉じた。

 

 

何度も書いていることだが、先鋭的なヘヴィネスを試みているバンドに少しでも興味が

あるのなら、必ずCREATURE CREATUREを聴いてもらいたい。現代的なメタルコアや

Djentといったヘヴィ・ロックでは絶対に得ることのできない快楽愉悦が味わるはずだ。

ISISやTOOL、完全にプログレ化する前のOPETH等々、好きな人達も是非聴くべし。

 

なんて、ライター仕事の延長みたいになってしまったが(笑)、とにかくもっともっと

多くの人に聴いてもらいたい音なのだ。無論、大衆向けの音楽ではまるでないし、

聴く人を選ぶ音楽であることは間違いないのだが、そろそろO-EASTやリキッドルーム

辺りのハコで観たいのだ。もっといえばフェスの大舞台で演奏する彼らが観たい。

 

でも、そもそもフェスとかは美学に反するのかな(苦笑)。ともあれ、今年6月には再び

ツアーも始まるCC。できれば、もう1回観ておきたい。

 

今回も素晴らしい一夜を過ごすことができた。ありがとう、CREATURE CREATURE。

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at 23:59, 某スタッフ, Music(Live Report)

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2/8 (水) 渋谷WWW X 〜 mouse on the keys OUT OF BODY TOUR 2017 w/LITE

 

 

ここ数日、ホッとしたことやら訃報にショックを受けたりその他トラブルもありつつ、

ようやく2017年のライヴ初めについて書き出している自分。まあそんな内輪の話は

どうでもいいとして、偶然にも私にとっては約1年ぶりとなるMOUSE ON THE KEYSの

ライヴが、今年初のライヴ参戦になろうとは。何とも光栄なことである。しかも去年の公演

と同じく、LITEがゲスト参加という時点で、偶然だと言いつつも必然の展開であったのかな、

などと考えている。そう解釈した方が面白い。

 

渋谷WWW Xというハコ自体、個人的に初めて足を踏み入れるハコであったのだが、ちょうど

良いサイズ感……キャパ600くらいかな。センター付近、前から3列目という場所を確保できた

こともあって、前回の公演以上に、各プレイヤーのパフォーマンス、表情やら動きをじっくりと

観ることができた。以下、レポ。

 

●LITE

 

数日前にWWWXでワンマン公演をしたばかりという彼ら、結成から10年以上が過ぎた今、

黄金期を迎えているのではないかと思わせるパフォーマンスで、40分という短い時間では

あったが、彼らの追求してきた、そして追求し続けるLITE流のサウンドを叩き付けてくれた。

いや、勿論ファンでもない私がそのような偉そうなことを言えた義理ではないのだが、去年

観た時以上に、ギター、ベース、ドラムス、同期物も含めて、全ての音がダイレクトにそして

ダイナミックに私の五臓六腑に突き刺さってきたのだ。

 

ディストーションの音圧に頼るのではなく、単音のギター・リフが複雑に絡み合いながら、

図太いベース・ラインが喧嘩をふっかけるように空間を動き回り、激しく畳みかけるドラムスが

渾然一体となって迫りくる様は、所謂ポスト・ロック〜マス・ロック流儀のそれではあるが、

そこに日本人独特の繊細な感性が、目に見えぬワイヤーのように一音一音に込められている

辺りが素晴らしい。適度な緊張感、間を操る技術の高さ、どれをとっても一級品であろう。

海外での評価も当然と言えるものがある。

 

MCは……やっぱり朴訥でナイーブな雰囲気であったが(笑)、主に喋りを担当しているギタリストの

武田信幸氏は、何と行政書士としての顔を持っている。現代のバンド・シーンにおけるビジネスの

在り方、生活と芸術との折り合いのつけ方、それは人それぞれであろうが、こういった選択もある

のだな、と彼より2つ年上の私としては、正直感心してしまった。90年代のCDバブル、一介のロック

バンドが稼ぎに稼いでいたあの狂乱の時代を知る世代でもあるだろうから、色々と複雑な気持ちには

なってしまうが……。

 

閑話休題。後半にはMOUSE〜におけるサックス奏者である根本潤(EX:there is a light that never

goes out!!)氏がヴォーカル(?)として参加、異様な印象を残して去って行きました。一種の前衛、

アングラ的なパフォーマンスであったので、受け付けない人は受け付けないだろうといった感じ

ではあったが、これはこれで楽しめました。ふと思ったのが、LITEがヴォーカル有のバンドで

あったらどうなっていただろうということ。いつだったか、CINEMA STAFFを観た時のことも

同時に思い出された。若い音楽好きの連中は、"残響系"などという言葉を普通に使っているそう

だが、確かに、直接的に00年代以降のポスト・ロック勢が鳴らしていたギター・リフであったり、

バンド・アンサンブルの方法論を上手くJ-POPと結びつけているバンドは今の時代大勢いる。が、

LITEはゲストでのヴォーカル参加はあれど、基本的にはインスト・バンドとしての矜持を今も

保ち続けているところに、改めて感じ入るものがあった。

 

ラスト、暴れに暴れてノイズを放出し、さっと切り上げる潔さも良い。やはり、貫き通している

バンドというものは、好き嫌いは超越して、断固として支持したい。

 

●mouse on the keys

 

今回は眼前にて彼らの卓越したパフォーマンスが観ることが出来る、なんてワクワクしながら

セッティング時間が過ぎるのを待っていたが、いつも通り黒を基調としたシックなファッションで

統一したメンバーが現れた瞬間、フロアは一種の緊張感に包まれた。"持っている"バンドという

のは、こういうところにも他のバンドとの違いが出るものである。

 

結論から言うと、どの曲をやってとかどの曲が良かったとかそういう次元を超えて、マウスによる

ライヴというのは、1つの大いなる体験であると今回も再確認した次第である。先月リリースされた

ミニアルバム、OUT OF BODY……"臨死体験"というダークで沈み込むような世界観を基調と

しながらも、定番曲も織り交ぜつつ、フラッシュ・ライトによる効果的な演出も含めて、光と闇の

コントラスト、激情と静寂、相反する美がせめぎ合う、その全てがMOUSE ON THE KEYSのライヴ

でないと味わえない、刺激的な"体験"なのだ。

 

彼らの作品群の(イントロを除いて)冒頭を飾る"Leviathan""spectres de mouse""AOM"

といった、激烈なドラムスとピアノとの応酬で繰り広げられるタイプの楽曲などは、まさに圧巻

としか言えないものがあって、うわ、凄いぞと声に出してしまいそうになるほど。川崎氏の

ドラムス、目の前で観ると改めて分かるが、本当にとんでもない。単に手数が多いとかそういう

問題ではなく、子供のような無邪気な笑顔を浮かべたかと思えば、取り憑かれたような表情で

鬼神の如きプレイに没頭する姿は恐ろしいほどだ。前衛的な音楽を愛しながらも、刻み込まれた

ハードコア魂は、恐らく彼の指先にまで宿っており、その一打一打に息をのむほどの緊迫感

があり、空間の絶対的支配者にも、美しいピアノの音色、その伴侶にもなれるドラマーなので

ある。間近で観ることができた最もなメリットとして、あくまで個人的なメリットだが、前回の

ライヴでは把握しきれなかった、ピアニスト2人のそれぞれの役割分担も今回はっきりと分かった、

という事が挙げられる。川崎氏と同じく元NINE DAYS WONDERの清田敦氏が主旋律を弾く

パターンが多く、新留大介氏はメロディは勿論のこと、ギターでいうバッキング、いや、

そんな単純なものではないのだが、曲によってはシンセ・ベースを弾く割合もかなり多かった。

元々は川崎氏と清田氏で始めたMOUSE、最初は川崎氏がドラムとキーボードを担当という

アクロバティックなこともやっていたが、本当に今更ながら、新留氏の加入は物凄く大きかった

のだろうなあと。

 

楽曲によって上述したサックス奏者根本氏、トランペット奏者の佐々木氏大輔氏も加わり、

モノクロの男達による、どんな色よりも鮮やかな、艶やかな色彩が散りばめられた美しい

世界は観る者の心を捉えて離さない。プレイヤーの技術の素晴らしさ、強烈なパフォーマンス

はもとより、例えば"forgotten children"のような、まるで少年が家路を急ぐ姿が想起される

ような、何処かノスタルジックなメロディ、旋律にハッとさせられる瞬間は、まさに至福。

サポート2人のソロ・パート的な場面もあり、そこから一気に曲に雪崩れ込む様も、快感の

一言。曲間で、川崎氏が大声でカウントを取ったりするところも、実に良い。

 

そんな川崎氏、いや川崎先生と呼びたい(笑)が、今回もMC用のマイクが設置されており、

思う存分語っておりましたよ。彼は20世紀以降のポピュラー音楽史について講師として

教えている、なんてことも行っているそうで(だから先生)、その辺りについても色々と

もう喋る喋る(笑)。こちらが講義を受ける学生になったような気分になってしまった。

が、今回は珍しく(?)、寡黙なピアニストの1人、清田氏に去年のアメリカ・ツアーの

件で話を振っておりました。清田氏、喋るとイメージの100倍くらいマジでナイーブな

お方です(笑)。はにかんだような喋り方は、彼の鳴らす繊細なメロディに直結しているが

如き。とはいえ、川崎氏はこのように仰ってました。

 

「MCと音楽性は別ですよ」

 

mouse on the keysは、前回の記事でも述べたように、単なるポスト・ロックというわけ

ではなく、ニュージャズというわけでもなく、ある意味最もナイーブな男、川崎氏の人生経験

やら豊富な音楽知識、インタビューを読む限り、かなりの読者家でもあり、その時々で興味を

持った哲学などから生まれる美学を中心として、核となる絶対的な個性を持ち合わせながらも、

多面的な魅力に満ちた、言うなればクロスオーヴァ―な存在である。今、同時代に彼らのような

バンドが活動していて、ライヴも精力的にこなしていること自体、感謝すべきことなのだと。

少なくとも私は、たった2回しか彼らのライヴを観ていない私ですら、そのように考えるのが、

mouse on the keysなのである。

 

とはいえ、MCもそうだがシリアス一辺倒でないのが彼らの面白いところ。ダブル・アンコール

では川崎氏がヴォーカル(!)としてフロントに立ち、まさかのナパーム・デス大会(笑)。

例の楽曲、"You Suffer"をやってました。ラウドパーク09でナパーム・デスを観たことが

フラッシュバックしてしまった……。

 

 

無邪気なミュージシャン、音楽馬鹿としての一面も必要以上に見せた(笑)今回のライヴも、

総じて素晴らしいものであった。次は4月にまた彼らと会える。楽しみだ。

 

ありがとう、mouse on the keys & LITE。

at 23:37, 某スタッフ, Music(Live Report)

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12/29(木) 日本武道館 〜 BUCK-TICK TOUR アトム 未来派 No.9

 

 

結局最新作「アトム 未来派 No. 9」について書く前にこの日が来てしまったが……

ともあれ、私の今年のライブ納めはやっぱりB-Tの日本武道館と相成りました。

 

デビュー29周年の締めくくりにして、来るべきデビュー30周年の年を迎えるべく、

……などとアニバーサリー的な意味合いの文言を並べてみたが、その実、本公演は

最新作ツアーの最終日という位置付けであり、定期的に新作をリリースし続けて、

バンドとして当たり前の日程をきっちりこなす勤勉なバンドの姿にこそ、私は驚嘆

せざるを得ないのだ。何せ、解散や長期活動休止などもせず、誰一人メンバーが脱退

するようなこともなく、大物バンドにありがちな編集盤やらそういったリリースで

お茶を濁すようなこともなく、この約30年間、前述したように定期的なアルバムの

発表を欠かしたことがないBUCK-TICKというバンドは、訳知り顔の評論家諸氏が

語るような音楽史、つまらない精神性を重んじた音楽論などでは到底窺い知れない、

1つの理想を体現しているのである。音楽性の好き嫌いはともかく、彼らが積み上げて

きたキャリアの価値、その意味は、日本の音楽史を語る上でも今まで以上に重要な

ものとなっていくだろう。それはこの場を借りて断言しておきたい。

 

前置きが長くなったが、そのような事を色々と考えたのはライブが終わってからの

ことで、いつも通り興味深く、B-Tのライブでしか味わえない喜び、楽しさだけを

享受することができた。以下、感想を述べていこう。

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at 16:40, 某スタッフ, Music(Live Report)

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12/18(日) 新宿LOFT 〜 サロン・ド・キノコ〜マリアンヌ東雲 性誕祭

 

 

メジャー・デビューから早6年、何ら変わらぬ不動のキノコ・クオリティを(以下略)

 

 

さて、1週間経ってしまったが、とりあえず私自身の忘備録としてのブログでもあるので、

参戦したことは書き記しておこう。今回の実演会は、私としては身内のパーティー感を

最も感じたライブであったこともあり、それほど細かい感想といったようなものは正直

無いので、さらっと書いていく。

 

珍しく20分押しくらいで始まった実演会だったのだが、今確認してみたら、3年前の

ロフトでの実演会でも約20分押し、開演まではバックドロップに映像が流れていたので、

ロフトではこういう流儀なのかもしれない(笑)。しかも、今回流れていた映像は何と

『イルザ ナチ女収容所 悪魔の生体実験』!! 私のような人間はニッコリだが、げんなり

していた方々も男女問わず、大勢いたように見受けられた。人を選ぶというレベルでは

無い内容だしなあ。最近キノコ・ファンになった連れ(後輩女子)も、ぐったりして

おりました(苦笑)。

 

何というか、今回は久々に"アングラ"なキノコホテルだったというのが結論であって、

勿論そういった要素は彼女達に、特にマリアンヌ東雲には欠かせないバックグラウンド

であることは間違いないのだが、それこそ連れの後輩女子はキノコホテルの音楽だけで

ファンになった子であって、そういった女性ファン(勿論男性も)は多くいるだろう。

音楽だけで、ファンになってしまう魅力がキノコホテルにはあるのだから。が、キノコの

持っているアングラというか……あまり言いたくないが、所謂サブカル的な要素を、

受け入れられないという人もいるわけで、そこが難しいような気もする。深く考え過ぎ

なのも承知の上だが、もっと知名度が上がってもいいし、動員が増えてもいいはずだと

こちらとしては思うわけで。

 

そんな性誕祭は緩めな三部構成となっており、最初は普通にライブ演奏、中盤には

THIS IS 茶番劇(笑)な、従業員(演奏隊3人)によるマリアンヌ様をお祝いするコーナー、

そしてライブ演奏、といった具合。演奏はいつも通り、何処を切り取ってもカッコいい

キノコ達の熱演で、初期の曲とか結構やっていたのが印象深かったかな。それこそ、

"あたしのスナイパー"とか、"還らざる海"とかやっていたはず。全体的にリラックス

していた雰囲気だったので、これといって新発見があったわけではないが、マリアンヌの

ヴォーカルはどんどんロック的に情熱的になっていくなあと。そんな事言ったら怒られそう

だけど、そうなんだから仕方ない。上述した茶番劇の最中に、本人が昔の自身の歌い方に

ついて、自嘲気味に話していたこともあって、今はこれが彼女の自然なのだろうな。

ともあれ、やっぱりキノコホテルの実演会って最高にカッコいい。これは全くもって

変わらない、不変不滅の真実です。

 

その茶番劇は、完全に従業員がイニシアチブを握っており、謎の(笑)キノコホテルの

コピバンが登場したり、ジュリエッタ霧島によるBARが開店したり、と彼女達なりに

色々と趣向を凝らしておりましたよ。楽器をシャッフルして演奏、というのが一番

レアで希少価値があったかな。後、マリアンヌに捧げる"OK! マリアンヌ"……

ビートたけしのカヴァー曲!! を3人で演奏したのがハイライト。ファービーがとっても

歌が上手い。ケメちゃんはSSWとしての活動もあるので、歌える子なのは当然だが、

ジュリエッタが……ちょっと歌が下手というのが分かって微笑ましい気分に(笑)。

いや、オッサンの感想ですまん。

 

ちなみに一番笑ったのが、マリアンヌへの感謝の手紙(笑)をケメちゃんに読ませたと

いうのがね。マリアンヌ自身、「うさんくさい」「悪意を感じる」と仰っておりましたが、

確かにこの人選が一番無いって感じで笑えた。人間的にどうかは知らないが、お互い

ミュージシャンとして尊敬しているのだとは思うけどね……。

 

後半はがっつり演奏モード。恒例のメンバー紹介で、今回はオルガンから落ちることなく

(前回の実演会参照)、支配人による激しく妖艶なパフォーマンスもばっちり披露。

アンコールにも応え、濃密な夜は2時間20分越えで終了。ラストの、マリアンヌによる

「私は幸せ者ね」とったようなMCにはちょっと吃驚。私がキノコホテルの実演会に足を

運ぶようになった6年前だったら、こんな事は言わなかったと思う。単純に歳を取った

……などというよりは、彼女自身の心境の変化であろう、と判断しておく。

 

 

来年には今年のキネマ倶楽部での実演会のBD+DVDもリリースされる。勿論、一胞子と

してはそれは購入するつもりだ。後は、10周年記念の実演会……赤坂ブリッツでの

実演会を、何としてでも成功させるべく、キノコホテルの音楽の素晴らしさを、今後も

地道に布教していく所存である。

 

何はともあれ、今年もありがとう。キノコホテル。

at 23:08, 某スタッフ, Music(Live Report)

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12/9(金) 新木場スタジオコースト 〜 RYAN ADAMS単独来日公演レポ。

 

 

RYAN ADAMSの音楽と私個人との付き合いは、数年前に当ブログにおいても軽く触れた

ことがある。もう5年前か。あれから、聴かずに通り過ぎていたLove Is Hell以降の

ライアンの音楽もほとんど聴き直して、今回の公演に臨んだ。文字通り、待望の一言で

しか言い表しようの無い、初となる単独来日公演である。

 

この日、私のように15年前にGOLDでRYAN ADAMSを知ったであろう世代は勿論、

若いファンもいるし、外国人もいる。家族連れもいた。11年前の悪い意味(苦笑)での

伝説となったフジロックで実現した初来日に足を運んだであろう人も、きっといたのだろう。

年齢層は幅広く、男女比もほぼ同程度のものであったが、とにかくこの日を待っていた、

という熱気を感じるオーディエンスが集まった印象だ。

 

始まるまでは、本当に来てくれるのか不安も無くは無かったが、嬉々としてレコードを

ディグって(ブラック・サバスのアナログのロシアプレスとか……)いる姿をツイート

なさっていたので、ああご機嫌なんだなと(笑)。もしかしたら、過去2回の来日はどちらも

フジでの来日だったので、東京は初めてだったのかもしれない。

 

定刻から10分少々過ぎた辺りで、客電が落ちてメンバー登場。皆、普段着の兄ちゃん達だが、

ライアン氏はワッペンで―背中にはリアル・ノルウェー・ブラックのEMPERORの特大

ワッペンです―武装したGジャン(デニム・ジャケットなどとはあえて呼びたくない感じ)に

ジーパンという80年代メタラー、もしくはハードコア的な出で立ち。うん、太ったなあ(笑)。

まあそもそも太りやすそうな雰囲気ではあったが。ともあれ間近で見るライアンは、少年の

面影を色濃く残した、まさに"心に荊を持った"ままのオーラを放っていたのだ。

 

1曲目は、先日公開されたばかりの新曲"Do You Still Love Me?"。嗚呼、初めて生で体験する

ライアンの歌声……実に素晴らしい。物凄い特徴があるわけでもないのだが、聴いてすぐ

それと分かる。これぞ天性の才能。音楽の神から与えられたギフトである。新曲とはいえ、

既にチェック済みの観客も大勢いたようで、大きな歓声が湧く。歌っている人もちらほら

見かけた。初めての単独来日だからといって、過去の代表曲を羅列するようなセット・リスト

ではないことは、冒頭から明らかになったということだ。むしろ、今回のライブは、我々

オーディエンスにとっても、そしてライアン自身にとっても、初の単独だとかそういった次元

ではなく、非常に意義深いものとなったのだが、それは後述しよう。

 

2曲目は"Magnolia Mountain"。渋めブルージーな香りも漂いながらも、決して泥臭くなることは

なく、スタジオ音源よりも遥かにロックでグル―ヴィ、途中の長いギター・ソロも、素晴らしく

エモーショナル。上述したように、私はここ数年で改めて、自分がスルーしていた05年から2015年

という10年の間にリリースされたライアンの音楽と向き合ってみたのだが、今なら分かることが

ある。私が期待したRock N Roll路線でなくとも、RYAN ADAMSの本質は何一つ変わっては

いなかったということ。同時代のインディ・ロック系と共振していたような音が無くても、彼の

歌声が、メロディが、楽曲そのものが、ライアン・アダムスという稀代のSSWの魂そのもので

あったのだ。それは、ライブで体験したからこそ、より再確認できたことでもある。

 

"Kim"で個人的には最初のハイライトを迎えた。何たる美しいメロディ!! スタジオ音源よりも、

何倍もの哀切が心の奥底にまで迫りくる。続く"Peaceful Valley"の、これまた実際の音源より

遥かに長い、ほとんどジャム・セッションのようなギター・ソロ!! おそらく最終的に10分は

超える長尺な楽曲へと生まれ変わっていた。もう、ライアンがとにかくギターを弾きまくる

のが最高にカッコいい。こういう人なんだ、って今更実感しました。顔で弾くプレイヤー。

サポート・メンバーのギタリストも同じタイプでしたね(笑)。ほんと今更な感想なのだろう

けど、ライアンはギタリストとしても凄い魅力的なミュージシャンなんだなと。ライアン本人の

感情が、サポートの面々が放つアンサンブルが、観客の熱狂が、場の空気が、思った以上に

凝っていた照明の演出すらも、全て一体化しているが如きプレイ。

 

 

"Fix It"の激渋なギター・リフ、狂おしい泣きメロも最高。新曲も随所に挟み込んだセットでは

あったが、曲を知らなくても楽しめる、ではなく異常に感情移入できるのがライアン・アダムス

のライブだ。ナイーヴな男の独白を、天賦の才で珠玉の楽曲へと昇華する彼の本領発揮である。

 

"Am I Safe"だったかな、しばらくイントロを演奏して一旦ストップして仕切り直しと相成った

ところなんかは、気分が乗らないとやり直しも辞さない気分屋ライアンな一面も。とはいえ、

今回のライブは終始笑顔で、MCは控え目であったが、とにかくご機嫌であったと思う。

この楽曲でのオルタナ世代全開なノイズの放出も、全ての要素が上手く噛み合ったからこその

展開であったと感じたから。

 

"When The Stars Go Blue"も実に美しく、切々と歌い上げるライアンの歌声に聞き惚れて

しまったが、思い返せばGOLDからはこの曲くらいしか演奏しなかったかもしれない。

先に書いてしまうと、"New York, New York"すらもやらなかった。ライアン自身が述べて

いたことだが、今回の日本公演が自身の2016年のライブの締めくくりとなるそうで、そこに

来年リリースされる新作Prisonerからの楽曲を多数披露した、というのは非常に重要だと

言えるであろう。既に先を見据えたRYAN ADAMSを一足先に体験できたという事こそが、

今回のライブの肝であったと感じざるを得ない。それが、上述した意義深さということに

対する私なりの答えである。

 

後半には、これも後から分かったことだが、事前にプレスには配られていたセット・リスト

には載っていなかったらしい、OASISの名カバー"Wonderwall"が披露された。どういう心境の

変化であったのかは分からないし、日本でのオアシス人気をライアンが知っていたとはとても

思えないが……気分を変えてくれてありがとう、としか言えない(笑)。まさに絶品のカバー。

テイラー・スウィフトの作品を丸ごとカヴァーした例のアレもそうだが、ライアンの手に

かかれば、どのような曲も全てRYAN ADAMSそのものとなってしまうのが凄い。何せ、

あのノエル・ギャラガーをして、

 

「お前にこの曲をやるよ。俺たちはこんなに上手くやれなかったからな」

 

と、言わしめただけのことはある。まあ、ノエルは特にアメリカでこの曲ばっかりが有名

だということにご立腹のようですが……。

 

閑話休題。本編ラストはライアンのソロ・アーティストとしての原点となった、デビュー作

収録の"Shakedown on 9th Street"で終了。原曲よりも遥かにロックンロールしたアレンジ

で、ウイスキータウン時代から考えると20年以上のキャリアを持ったミュージシャンであり

ながら、枯れて渋くなるだけ、なんてことのないライアンは最高にカッコいい。冗談なのか

本気なのか分からないファッションも含めて(笑)。

 

アンコールでは上述した来年リリースの新作から、表題曲"Prisoner"を披露。直前のシドニー

公演でも披露していたはずだが、演奏後に驚いたような顔で興奮していたライアン。自分の

予想以上に上手くいったのかもしれないな。観ているこっちも嬉しくなってしまうほどだった

から。ちなみにこの曲、私個人的にはスミスやキュアー大好き男、ライアンの嗜好が垂れ流し

的な印象を受けた。そう、彼の音楽は所謂ルーツ色も強く、そもそもオルタナ・カントリー

などと称されていたこともあったのだが、決して泥臭くなることがなく、かといって英国への

憧憬が強すぎる、というわけでもない、不思議なバランス感覚を持っているという事実を

認識したのは、色々と発見の多かった今回のライブにおける、私個人の最もたる収穫なので

ある。私が特に好きな、ビブラートを効かせたライアンのファルセットも、モリッシーの

魂を宿しつつも、ねっとりし過ぎることもなく、あくまで1人の男の哀愁に還元されていく

のだ。そういう意味でも、彼は何も変わっちゃいない。いや、捻くれた性格が大人になって

落ち着いた感はあるが(笑)、むしろ変わったのは私の音楽的態度であろう。ライアンの本質に、

10数年前よりも近付くことができたのかな、と勝手に感慨に浸ってしまった次第である。

 

ちなみに、彼はテイラー・スウィフトとの対談でこのような素晴らしすぎる名言を残して

いる。いや、名言でも何でも無いのかもしれないが、私にとっては狂おしいほどの名言なのだ。

 

「僕は煮詰まったら、スミスのアルバムを聴くんだ。携帯の充電が完了したみたいな感じで、

5分で曲が書けるようになってしまうんだ」

 

またまた閑話休題。少し長めのMCを挟みつつ、ラストは"Gimme Something Good"で〆。

観客に向かってギター・ソロを弾きまくるパフォーマンスも最高。ライブが終わって、

鳴りやまない拍手の中で最後に浮かべた笑顔もまた、実に輝いていた。最高だぜライアン!!

 

 

今回のようなライブを観ると、月並みながら、歳を食うのも悪くないなんて思える自分がいる。

おそらく、10年前の私には、件の問題作Rock N Rollを封印(そう、彼はもうこのアルバムの

楽曲は絶対にやらないようだ)したライアンのライブに、ここまで感動することはできなかった

であろう。Rock N Rollの国内盤の帯には、確か『音楽と共に生きる天才』などといった

煽り文句が書かれていたはずだが、あれから10数年経った今も、その言葉通りの存在で在り

続けるライアンの行く末を、今度はずっと見守っていきたい。来年の新作、楽しみだ。

 

音楽と共に生きる天才に触れた2時間。ありがとう、RYAN ADAMS。

at 23:20, 某スタッフ, Music(Live Report)

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11/22(火) 恵比寿ガーデンホール 〜 BLOOD ORANGE初来日公演レポ。

 

 

拙ブログにて記事にしてから早2年、まさか来日公演が実現するとは夢にも思わなんだ。

 

というわけで、間が空いてしまったがBLOOD ORANGEの初来日公演に参戦してきたので、

いつも通り好き勝手につらつらと書いていこう。

 

今年リリースされた通算3枚目となる最新作Freetown Soundも高い評価を得て、ここ日本に

おける知名度も飛躍的に高まっているように感じられるが、事実今回のライブはチケット完売。

場所は恵比寿ガーデンホールというオシャンティなハコで、キャパは1500人程度というの

だから、ソールドアウトしたというのは、なかなかの快挙と言えるだろう。

 

今回はこの手の音楽好きな、世代もバラバラの同僚3人で行ったのだが、オーディエンスの

年齢層自体もそれなりにばらけていて、サラリーマン風のオッサンも結構いた。Test Icicles

時代から、彼、Dev Hynes氏を追いかけてますといったようなインディ・ロック好きな面々は、

思ったほどはいなかった印象。恵比寿という場所に相応しいお洒落なメンズにガールズ、

ギラギラに派手なファッションで着飾った子達もいて、勿論外人も多くいる。そんな雰囲気。

私のように、MANSUNのカヴァーで手の平返ししたような奴は、まあいなかっただろう(笑)。

 

定刻を20分ほど過ぎてからライブはスタート。まずはハインズ氏と女性コーラスだけが

登場……と、先に書いておくが、このコーラス担当の女子の存在感たるや半端なく、ほぼ

坊主に近いヘア・スタイルでまるでエイリアン3のシガニー・ウィーバーかよと思って

しまったくらいなのだが、中性的というのでもなく、その物凄く整った顔立ちと肉感的

スタイルが妙に艶っぽくて、ハインズ氏と同じくらいの観客からの熱い視線を浴びていた。

って話が逸れたが(笑)、そんな2人だけで始められたのは"By Ourselves"。特別な演出も

無い、シンプルな始まりだ。そのままギタリスト兼キーボーディスト、ベーシストに

ドラマーが加わって、アルバムと同じように続けて"Augustine"が披露された。もうこの

時点で、今日も素晴らしいライブ体験になるぞと確信していた私であった。

 

最新作の楽曲のみならず、1ST作から"Champagne Coast"が披露されたり、2ND作からの

"You're Not Good Enough"(個人的にこの楽曲の美しさには感動した)や"Chamakay"なども

披露。他の国でのセットリストをざっと確認した限り、結構日本では他とは違う内容に

なっていたというのも興味深い。ともあれ、ハインズ氏のメロディ・センスの美しさは、

ライブで体感するとより際立つことが分かったので、早速結論付けてしまうが、それが

一番の収穫だったかな。個人的には。音源ではさらりとした印象だった曲も、こんなに

美しいメロディだったっけ?! と思ったりもしたし。ハインズ氏の歌声も、卓越した

ヴォーカリストというわけではないが、押し付けがましくない上品な美を備えており、

上述した女性コーラスとの相性の良さも相まって、BLOOD ORANGEの世界観には

ぴったりの声質であったのだ。

 

PV映像でも確認できたように、彼のパフォーマンスはかなり陶酔系(笑。私の大好物なタイプ

です)で、華麗にターン、ステップ!! ビートに合わせてダンスに興じたり、と自己アピールが

想像以上に強い。が、ソウル〜ファンク、R&Bというジャンルの持つ"いなたさ"は皆無で、

何処か都会的クールネスが感じられるのは、恐らく彼がイギリス人であり、00年代英国

インディ・ロック畑という出自が、あの醒めたクールネスが尊ばれていた時代の申し子と

言える世代(彼は85年生まれである。アレックス・ターナーやルーク・プリチャードといった

面々と同世代なのだ)ならではの雰囲気が、そうさせているのかなと個人的には感じた次第。

それもまた、彼の音楽を面白くしている要因なのかもしれない。

 

アルバムではマルチ・プレイヤーのハインズ氏がほぼ1人で楽器を演奏していたので、ライブは

どのようになるのかと思っていたのだが、上述したように、実に伝統的な、シンプルなバンド編成

でのライブであった。Test Icicles時代はギタリストであったハインズ氏を含めメンバー全員が

水準以上のプレイヤーなのだが、物凄いケミストリーが生まれていたというよりは、やはり

ハインズ氏のセンスを昇華させる為のバンドといった趣が強かったかな。10年以上も前に、

「俺はギター・ソロが好き」と公言しているハインズ氏なので、熱くエモーショナルなギター・

ソロを延々と弾き続ける場面もあったりして、BLOOD ORANGEというアルター・エゴの中で、

プロデューサーとしての彼とフロントマンとしての彼とプレイヤーとしての彼とがせめぎ合って

いるような、そんな印象も受けた。やっぱ面白い(笑)。

 

MCは控え目、本当に控え目だったように思う。曲の途中で「HELLO,TOKYO」ってさらりと言った

くらい? 初来日の感慨とかを長々と語ることもなく、ひたすらストイックに演奏だけで魅せた

ライブとも言える。後半には二―ナ・シモンズのカバーを披露したのだが、その時に前置きと

して少し喋ったくらいかな。

 

アーバンな雰囲気の"Uncle Ace"、そしてハインズ氏1人で弾き語った"Better Numb"(これまた

メロディの美しさが際立っていた!!)で1時間弱のライブは終了した。アンコールも無かったし、

ショーケース的なコンパクトなライブであったが、フロアの照明が点いても鳴りやまなかった

拍手が、今回の公演の成功を端的に示していた。まあそれでも、もう少しやって欲しかった

かな。素晴らしかったが故に、物足りなさもあったというわけで。

 

 

Dev Hynes氏が今後どのようなビジョンを持って、自身のキャリアを積み上げていこうとして

いるのかは分からないが、私としては、BLOOD ORANGEは勿論、このツアー・バンド自体に

大きな可能性があると感じられたので、もっとライブの場数を踏んで、次は夏フェスなんかで

再来日すればいいと思う。日本での人気はアーティスト側にも伝わったはずだから。

 

ともあれ、素敵な夜だった。ありがとう、BLOOD ORANGE。

at 23:30, 某スタッフ, Music(Live Report)

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10/22(土) 東京キネマ倶楽部 〜 サロン・ド・キノコ〜ゲバゲバ大革命 <後編>

 

 

メジャー・デビューから早6年、何ら変わらぬ不動のキノコ・クオリティを(以下略)

 

 

それではライブ・レポ後編、参ります。前編はこちらで。

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at 23:25, 某スタッフ, Music(Live Report)

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10/22(土) 東京キネマ倶楽部 〜 サロン・ド・キノコ〜ゲバゲバ大革命 <前編>

 

 

 

メジャーデビューから早6年、何ら変わらぬ不動のキノコ・クオリティを確認して、

安心したのは言うまでもない(笑)。

 

拙ブログにおいて、本稿は2年3か月ぶりのキノコホテルの記事であり、私にとって

2年3か月ぶりのキノコホテルの実演会参戦であった。それだけ間が空いたのは、勿論

タイミングということもあるが、今年リリースされた通算5枚目のニュー・アルバム

「マリアンヌの革命」が、前作4TH「マリアンヌの呪縛」から2年2ヶ月という、彼女達の

ディスコグラフィの中では最長のスパンでの発表となったことも関係している。新作が

出てから実演会に行こう……と考えていたらこれだけの時間が経っていたということだ。

 

その2年という月日を経て、個人的通算9回目となる実演会を観て感じた事は、こんなに

カッコいいバンドのライブを2年間も観ていなかったのかという後悔と、2年間という

間を置いたことで新たに見えてきたこと、などといった様々な想いであった。

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at 01:08, 某スタッフ, Music(Live Report)

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9/17(土) 日本武道館 〜 Kalafina Arena LIVE 2016

 

 

さて、Kalafinaである。先に書いてしまうと、今回のライブに関しては完全に親友の

付き添いで、私個人は、カラフィナの音楽を知ってはいても、ライブに行くと誘われる

までは、彼女達の作品を1枚たりともちゃんと聴いたことは無かった。件の親友から

譲り受けた音源をさらっと聴いて、ライブに臨んだという体たらくである。

 

ファンでも何でもない私がこうしてライブ・レポートを書くことで、熱心なファンの方々を

(私の親友も含めて(笑))怒らせてしまうことがないかと危惧しなくもなかったが、一音楽ファン

として、ほとんど予備知識の無いアーティストのライブでこれほどまでに感動させられた、と

いう記録はやはり残しておきたいのだ。とはいえ、ある程度予想はしていた。これは長年の

ライブ人生で培った勘というやつで、きっと素晴らしいライブになるのだろう、などと考えて

いたのも事実なのだが、それは予想を遥かに上回る形で的中したのであった。

 

言い訳という名の前置きはここまでにして、実際にどのようなライブであったのかを私なりに

書いていこう。尚、セットリストを確認しながら書いていくので、曲名を記載したりもするが、

当然ながら、ライブを観ている時点では知らない曲の方が遥かに多かったし、勿論メンバーの

名前も分からない、それぞれ歌うパートで役割分担があることだけは知っている、くらいの

知識であったという事は、念の為断りを入れておく。

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at 01:00, 某スタッフ, Music(Live Report)

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